住職ブログ

茗荷ミョウガと仏教

2020年7月30日

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時は2500年前、お釈迦様のお弟子1人に周利槃特(しゅりはんどく)という名前のお弟子がいました。この周利槃特は物忘れがひどく、自分の名前さえも覚えていることが出来ませんでした。

それを見かねた、秀才と呼ばれた兄の摩訶槃特(まかはんどく)が側について仏法を教えていたのですが、どれだけ丁寧に教えても何度説明しても覚える事が出来ませんでした。

事情を聞いたお釈迦様が周利槃特に直接お会いになり、数千人いる仏弟子の中で、智慧第一と呼ばれ、お釈迦様がもう一人いるとも言われた側近、舎利弗(しゃりほつ)に周利槃特の側にいるように頼みました。舎利弗は丁寧に連日連夜教えみしたが、結局は駄目でした。

後日お釈迦様は、唯一の長所が掃除である周利槃特を再び呼び、「塵を払い、垢を除かん」という言葉をお伝えになりました。

周利槃特に毎日この言葉を唱えながら掃除をしなさいと言われたのでした。「塵を払い、垢を除かん」という言葉を毎日口に出しているうちに、周利槃特は、お釈迦様が言われた「塵」と「垢」とは、実は私の心のことではないのか、物覚えが悪いことを良くすることが救いなのではなく、自分自身の心の中にある塵と垢の執着(こだわり)を落とすことが救いなのだと気づいたのでした。

 周利槃特の逝去後お墓からは、誰も知らないめずらしい植物が生えてきて、その植物を見た人々は、名前を忘れるくらいに物覚えの悪かった周利槃特のことを偲び「名(自分自身)」を「荷(引き受けた)」という意味で茗荷(ミョウガ)と名付けました。現代でも、ミョウガを食べると物忘れがひどくなるという迷信は、ここからきているという説があります。
南無阿弥陀仏なもあみだぶつ